本場・インドの映画館では、公開初日ともなると、観客はヒーロー登場とともに拍手喝采・指笛の嵐。
ダンスシーンではスクリーン上に登ってヒーロー&ヒロインと一緒に踊り、悪役にはブーイングを浴びせます。
人気俳優の主演作では、公開から数日は観客の声援が物凄く、映画の音声が聞こえなくなることも。

もちろん劇場側は賑やかに鑑賞することを推奨しているわけではないのですが、観客たちはヒーローや作品を心から愛していて、その感情が爆発しスクリーンに向かって思わず応援したり、歌って踊ってしまうのです。
そんな「ライブ感覚」のスタイルを日本流にアレンジした上映会が、2001年6月に大阪で初めて開催。
新しい映画鑑賞法として好評を博し、現在までに全国各地のインド映画上映時に採用されています。
現地では日常ですが、日本では親しみを込めて「マサラシステム(マサラ上映)」と呼んでいます。
【オーム・シャンティ・オーム】の原作映画は、インドで2007年・日本では2013年に公開されました。
ボリウッド映画屈指の人気俳優が主演とあって、現地では当時大変なフィーバーとなり、日本でも各地でマサラ上映が実現、日本でのインド映画人気を押し上げる作品となりました。
この流れを受けて、【オーム・シャンティ・オーム】大阪公演でも「マサラシステム」の導入が決定!
会場が梅田芸術劇場ですので、さすがにフルマサラは難しかったようですが、全6回の日程を「マサラ・ナイト」と称し、アンコール・フィナーレの部分がグッズを用いたインド式観客参加型公演となります。
(※「マサラ・ナイト」はマサラグッズを用いたパワーアップバージョンです。
対象公演以外でも、カーテンコールの観客参加型「マサラシステム」は全公演で実施されます。)

プレゼントされるグッズは、ビンディーシール・光るマサラバンド・メッセージ入りマサラカードの3種類。
ビンディーは、インドの女性が額に施す装飾で、伝統的には劇中で何度もセリフが登場する「シンドゥール(=既婚女性が頭髪の分け目に描く赤色の粉)」ですが、昨今はプレゼント品のようなオシャレなシールに変わっています。
光るマサラバンドは、インドの皆さんが腕に付ける「バングル」をイメージ。ペンライトのように光りますので、それだけでテンションも上がりますが、この光は大切な意味も込められています(後述します)。
まずはこの2種類をしっかり入口でゲットして、マサラ・ナイト公演に臨みましょう!
さらにインド衣装で参加すれば、より気分が上がること間違いなし。
対象曲は賑やかなパーティー曲「Deewangi Deewangi」 |
「マサラシステム」の対象曲は、2幕を華々しく彩る「Deewangi Deewangi」。
原作映画では、このシーンは多数のスターがゲスト出演する、「今後二度と撮影できない、ボリウッドで最も豪華なダンスシーン」と呼ばれています。
「えっ、これを全部歌って踊るの!?・・・」
そんなことはありません(笑)
「マサラシステム」に参加する上で、覚えておいたほうが楽しいのは↓の部分だけです。
そうなんです、
この曲は「〇〇〇歌う (ハ リッパ!) オーム・シャンティ・オーム♪」
の歌詞が何度もリピートしますので、この部分を知っているだけで曲の半分くらい踊れることになります。
ちなみに「ハ リッパ!」はインド・パンジャーブ地方の踊りなどで使われる掛け声で、特に意味はありませんが日本語的には「わっしょい!」のような感じ。
この部分は、紅ゆずるさん&観客の皆さんで作り上げる構成になっていますので、思う存分シャウトしましょう!声が小さいと、日替わりの先生に必ず怒られます(笑)
「マサラ・ナイト」には、もうひとつ大切なトリビアがあります。
それは、この曲の振付を、インド舞踊の第一人者・野火杏子先生が担当しているということ。
↑でご紹介した短い振付の部分にも、インド伝統舞踊に基づいた様々な意味がこめられています。

▲原作監督ファラー・カーン氏と、野火杏子先生
「オーム」は主役の名前であると同時に、宇宙にも通じるインドで大切な言葉(マントラ)です。
そして「ハリッパ!」後の万歳は、宇宙に向け夢・希望を飛び立たせるポーズ(野火先生談)。
この時、高く挙げた腕に光るマサラバンドは、宇宙に輝く星(組)を演出するのです!
そう、楽しく参加することで一層舞台が完成することはもちろん、同時に出演者の方々への”リスペクト”も表現できる、それが「マサラ・ナイト」の魅力なのです。

写真提供:梅田芸術劇場 撮影:岸隆子(Studio Elenish) ©宝塚歌劇団
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